マネー・ショート を観た

観た。

サブプライム住宅ローン危機の発生を予測し、事前に空売り(実際は空売りではないんだけど)することで巨額の利益をあげた男たちの物語。実際のモデルがいる。

邦題の「華麗なる大逆転」や黄色いパッケージから、アウトロー達がウォール街のエリートたちに一泡吹かせる痛快ストーリーかと思ったが、全くそんなことはない。 そこにあるのは、アウトローたちの心の葛藤である。

彼らの全てが喜々としてトレードしたわけではない。世界経済の崩壊が起こることを確信し、このような事態を招いた連中への怒り、絶望といった負の感情を噛み締めながらトレードするのである。

物語の終盤では、自分たちの成功が、多数の人々が職・資産を失い露頭に迷う先にあることを自覚し、良心の呵責に苛まれる。また、危機がはじまり、いざ売り抜こうとする際に「ここで売って巨額の利益を上げたら、自分たちが一番憎んでいた連中と同じになるのではないか」と苦悩する。

スティーヴ・カレルクリスチャン・ベールブラッド・ピットの徹底的な役作り、巧みな演技がこれらの心の葛藤を見事に描いている。特にスティーヴ・カレルの演技が表情・声のひとつひとつの変化のレベルで良かった。また機会があったら見たい。