昭和天皇物語2を読んだ

読んだ。

昭和天皇のお妃選び

下記の藩閥政治の話と絡むのだけど、妃選びが政争の具になるのを避けるために、貞明皇后自ら、積極的に妃を選ぼうとする話が描かれる。具体的には、女学院に乗り込んでいって、よさそうな女学生を探す。
なんとも行動力がある話だけれども、実際にこういうことやってたのかなぁ。この記事を書きながら、貞明皇后Wikipedia のページを読んでいたのだけど、宮中の古いしきたりを破壊したエピソードが多数なので、やりかねないな、と思った。

藩閥政治から政党政治

山縣有朋が皇太子妃を長州の息のかかった人物にしようと画策していて、あー、大正時代でもまだ薩摩と長州のこういう権力争いってやってたんだなぁ、という気持ちになった。
米騒動による寺内正毅の退陣と、その後に政党出身の原敬が首相に選ばれる(元老による推薦)過程が描かれていて、昭和天皇立太子からお妃選びのあたりがちょうど藩閥政治から政党政治へと移り変わっていく時期なのだな、と結びつけることができた。

東郷平八郎

この作品は東郷平八郎の心理描写が面白い。日露戦争の映画やドラマで無口でクールな描かれ方をされ、亡くなった後は神として祀られる東郷が、授業をする学者の発言にいちいち心を乱されたり、「明治が遠く感じる」と弱音を吐いていて、なんとも人間くさい。
また、2巻の時代に起きていた第一次世界大戦について、「テクノロジーの発達によって大量殺戮が可能になり、かつての戦争(日露戦争)に存在していた人間の尊厳が喪失した」と語っている場面も興味深かった。