ディジタル作法 を読んだ

大分前に買って、ずっと積んでいたが読んだ。

ディジタル作法 カーニハン先生の「情報」教室

ディジタル作法 カーニハン先生の「情報」教室

K&RのK、ブライアン・カーニハンがコンピューティングをハードウェア、ソフトウェア、通信の3つのコア技術に分類して解説してくれる。個人的には、学生時代に学んだ内容が多く、それが「点」だとすると、この本はその点と点を結ぶ「線」のように感じた。柔らかい語り口と絶妙なジョークで非常に読みやすい。

アーサー・C・クラークが定義した「クラークの三法則」の第三法則に「充分に発達した科学技術は、魔法と見分けが付かない。」というものがある。
スマートフォンの普及や最近の人工知能分野の発達などを省みて、現代のコンピューティングがまさしくそうでないかと思う。これによって生活が豊かになったと思う反面、本物の魔法のように大衆に受け取られ、アイザック・アシモフファウンデーションシリーズの初期にあるように(その作品の場合は、原子力がそれだった)技術が宗教化・権威化し、政府や企業が大衆をコントロールするのではないか、という恐怖がある。
というのは、SF小説の読み過ぎによる極端な悲観に過ぎないかもしれないが、本書でも所々でプライバシーや監視について警鐘を鳴らしている。この問題に向き合うには各自が正しい知識を身につけ備えるしかない。この時代に生きる、少なくともコンピュータに関わる仕事に就いている人にとって、読んでおかねばならない必読の一冊である。

ファウンデーション ―銀河帝国興亡史〈1〉 (ハヤカワ文庫SF)

ファウンデーション ―銀河帝国興亡史〈1〉 (ハヤカワ文庫SF)

未来のプロフィル (ハヤカワ文庫 NF 45)

未来のプロフィル (ハヤカワ文庫 NF 45)